およそ30年前。
教育って、なんてすばらしいんだろう・・・!
小学校の先生になったばかりの私は、心が震えるほど感動したのを覚えています。
子どもの「初めてできた」に立ち会えた瞬間のことです。
はじめはできなかったことなのに、
その子のできない状況に合わせて、やって見せて、教えて、やらせてみる。
すると、「できた!」と子どもたちの笑顔が弾ける。
この幸せな瞬間の感動を共に味わえることこそ、教育の醍醐味。
先生になって、本当に良かった!
中学生の頃からの夢だった先生の仕事を、私は誇りに思いました。
しばらく仕事をして、今も大好きなだんなさんと出会い、結婚。
念願の子ども(第1子・長女)を身ごもった私は、今度は我が子の教育に夢を持ちました。
この子には、とにかく自分のできる限りの教育をしてあげたい。
そして、この子と一緒に、家族で幸せになりたい。
ところが・・・。
なんとか無事に出産を終えた途端、想像もしなかった世界が私を待っていました。
赤ちゃんが、まず寝ない。
抱っこして、あやして、眠ったと思って布団に寝かせた途端に、ギャーと泣く。
絶え間ないこの繰り返し。
もう昼か夜かの区別さえつきません。
どうすればいいんだろう・・・。
オロオロして対応しても全く状況は変わらず、毎日が過ぎていきます。
母乳が足りていないとも言われ、長女と一緒にマッサージにも通いました。
ミルクも併用しましたが、事態は一向に変わりません。
こんなに赤ちゃんを泣かせてしまう自分は、ママ失格なんじゃないかな・・・。
ごめんね、こんなママで・・・。
ふらふらになりながらも、自分を責めました。
もう、教育どころではありません。
こんなはずじゃ、なかった。
夢と現実とのギャップに、毎日泣きました。
だんなさんや両親は、いつも励ましてくれましたが、
一人で追い詰められていくような孤独を感じていました。
賢くよい子に育ってくれたこの子にそのうちきょうだいが生まれて、家族みんなで仲良く暮らす。
長女を産む前の、そんな自分の夢が、叶わないとしか思えませんでした。
だって、この子一人ですら、笑顔にできないんですから・・・。
苦しい・・・。
辛い・・・。
でも私は、どうしても自分の夢を諦めきれませんでした。
どうしたらいい・・・?
その時私は、思い出しました。
教え子たちの笑顔を。
・・・そうだ。教育だ!
そう思った私は、涙を拭きました。
ママが泣いている姿を見せては、いけない。
笑顔で幸せな姿を見せて、教えよう。
この世の中は、楽しいんだよってことを。
それから私は、授乳のたびに明るく長女に話しかけることにしました。
おいしい?今日ママはお魚を食べたんだよ。鮭っていう、ピンク色のお魚だよ。
ところがもちろん、長女はお乳を飲もうとしているだけで、返事など帰ってくるはずもありません。
それなのに一日の中で授乳の時間は、何度もやってきます。
あとは・・・何をしよう?
私は、歌を歌ってみることにしました。
なるべく楽しいリズムの明るい曲を。
そして、一日の最後の方には絵本を読み聞かせることにしました。
なるべく話の筋がわかりやすい、短い昔話を選んで。
それを毎日繰り返しました。
すると・・・。
長女が落ち着き、よく眠るようになったのです!
まるで私が落ち着いた様子を見て学んだかのようでした。
それからの私は、だんなさんに協力してもらい、長女を連れて書店や図書館に行くようになりました。
そしてたくさんの育児本からヒントをもらい、自分なりに考えて工夫した育児法を実践。
それが、「のびしろ育児メソッド」です。
すると驚くほど子育てが楽に!
それどころか、長女はあっという間に言葉を覚え、1歳でカルタ遊びを楽しむ子どもに育ちました。
私はきょうだいを産み育てる心の余裕が生まれ、5年の間に子どもは3人に。
3人とも、塾に通う必要がない成績で、県内トップの公立高校にあっさり進学。
そして長女は、自分で東京大学への進学を希望し、理科Ⅱ類に合格しました。
きょうだい3人は年も近く共通の趣味が多いので、仲良しです。
だんなさんとは、ワインを片手に子どもたちの小さかった頃の話をよくします。
「あの時はこうだったね」と話すひとときは、何よりの癒やしの時間です。
あのとき、「のびしろ育児メソッド」を考え、始めて、本当に良かった・・・。
もし、もう一度子育てをする機会を与えられたとしても、私は「のびしろ育児メソッド」で育てる。
今の成長した子どもたちの姿を見て、心からそう思います。
夢なんて、叶うわけがない・・・。
泣きながら思っていた、あの頃。
その夢が今は叶っているということに気付いた時、私は胸が熱くなりました。
そして、私の周りで支えてくれた方全てに、感謝の気持ちでいっぱいになったのです。
そんな時、周りのママ達からよく
「どうやったらあんな風に優秀に育つの?」と興味を持たれたことを思い出しました。
もしかしたら、昔の私のように悩んでいる人たちのヒントになるかもしれない。
そう考えて、「のびしろ育児」の発信を決意。
少しでも、家族みんなで幸せになりたいと願うあなたの力になれますように・・・と。