落とし穴

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我が家の長男、二男がやんちゃだった時代の話です。

長男が小学校3年生、二男が幼稚園の年長でした。

その頃の二人の愛読書は忍者の本。

自分たちも、忍者らしいことをしてみたくてたまらなかったみたいです。

「落とし穴の作り方」を読んだ二人は、庭に「落とし穴」を作ることを思いつきました。

家には、とにかくだだっ広い庭があります。

のびしろ家は、子どもたちが自由に自然を満喫できるようにとの考え方。

そのため、玄関のドアを開けたところから、コンクリートで固めていない土の庭が広がっています。

いつでも庭に、自由に山や川を作ることができます。

毎年カマキリの卵を観察できるし、蝉の脱皮する様子だって見られるし、バッタや蛙はいつでも見放題。

そんな自然いっぱいの庭が、目の前にありました。

そこである日、二人は協力して、こっそり落とし穴を作ったのです。

翌朝。

登校しようとした長男の忘れ物に気付いた私は、

のびしろママ
のびしろママ

忘れ物~!

と玄関を飛び出しました。

目線は、ちょっと先を歩いている長男の姿へと一直線。

すると3歩くらい小走りしたところで、なんと、ズボッ!

見事に落とし穴にはまったのです!

幸い、子どもの作った落とし穴。

穴は浅く、30センチ程のものでしたが・・・。

私は何が起こったかわからない状態で土にひざと両手をついて、呆然としました。

のびしろママ
のびしろママ

・・・一体、何が起こったの・・?

すると向こうから長男が、

「あ、ごめんママ。それ、悪者を落とすために作った落とし穴・・・」

と、バツが悪そうにやってくるではありませんか・・・!

ちょっと・・・。悪者って、一体誰よ・・・!

私は相当低い声で、そううめきました。

だって、当然だと思いませんか?

私は、長男の忘れ物を届けてあげようとした、優しい母親。

完全に、いい人です。

それに、そもそも悪者を落とす穴が、家族がよく通る動線にあること自体が間違っていますよね⁉

・・・・・!

その日は帰ってきてから、こってりと私に叱られた二人でした。

でも、実は昔は私も「落とし穴」を作ってみたいと思ったことのある一人。

実際に作って、落とし穴に落ちた人がいたというのは、貴重な体験だったのかな・・・?

と思う、優しいのびしろママでありました。

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